緑内障検査・検査・治療
おもろ眼科では、これまで緑内障専門クリニックとして数多くの緑内障患者さんの検査治療を行ってまいりました。緑内障進行に重要な眼圧測定には非接触眼圧計(空気を当てて測定)、ゴールドマン圧平眼圧計(直接角膜にチップを当てて測定)2通りの測定にて正確な眼圧を算出しております。
眼圧の検査による網膜視神経乳頭所見より緑内障が疑われる場合には、OCT(光干渉断層計)、(HFA)ハンフリー視野検査を行います。
① OCT・HFA検査で異常がない場合は、視神経乳頭陥凹拡大(緑内障予備軍)にて年1回程度の診察が必要となります。
② OCT検査にて、網膜神経線維層・網膜神経節細胞層の菲薄化(ひはくか)はあるが、視野検査(HFA)で異常がない場合は、前視野緑内障の診断(pre-perimetric glaucoma:PPG)となります。
多くは、経過観察ですが、眼圧が高い・神経線維層の高度の障害を認める場合、強度近視、緑内障の家族歴がある場合は点眼治療を開始する事もあります。
③ OCT・HFA検査にて
異常が認められる場合は緑内障の診断にて治療を開始します。
緑内障のOCT所見
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【前視野緑内障(PPG)のOCT所見】
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【緑内障のOCTの所見】
視野検査
神経線維層の欠損部分(赤色の部位)に一致して、上方視野障害が黒くなって描出される。
MD slope(視野進行を表す)
緑内障は早期診断・早期治療が重要であり、適切な時期には適切な治療を行うためには上記にて検査は必須となります。
また、おもろ眼科ではHFA視野検査を6か月~1年ごとに施行します。HFA視野検査での進行の程度を示すMD値を解析し、MDslopeで1年間の視野進行を数値化します。MDslopeが-0.5b/年以内の進行を目標とし、進行が早い時は①点眼治療強化➁SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)➂手術の順に治療を強化していきます。
緑内障治療について
緑内障の種類は大きく分けて下記2種類に分類されます。
- 開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)
- 閉塞隅角緑内障
開放隅角緑内障の治療
① 抗緑内障点眼薬 ② SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術) ③ 手術 があります。
緑内障点眼治療において、眼圧がコントロールできず緑内障が進行する場合には、SLT治療、それでも進行するようなら手術という治療の流れがありました。
しかし、近年では、点眼治療よりも SLTが初期治療として緑内障治療で有効であることが示唆され、英国・ヨーロッパでは初期治療としてSLT治療が重要視されています。
おもろ眼科ではSLT治療は合併症がほとんどなく、安全に行える治療としてこれまで多くの緑内障患者さんに施行しております。
SLT後も緑内障進行する際には、緑内障手術の適応となります。
閉塞隅角緑内障の治療
沖縄県で有病率が高い緑内障で、遠視眼(子供のころ視力がとても良かった方)に多く、浅前房で隅角が狭く、進行すると房水の流出路が閉塞し、眼圧が急激に上昇し、眼痛・嘔吐を認める急性緑内障発作を発症します。
当院では、遠視眼で前房・隅角が狭い方は、まず「隅角鏡」検査で、隅角を調べます。
この検査で閉塞隅角が強く疑われる場合は、UBM(超音波生体顕微鏡)で、隅角の閉塞度を調べます。急性緑内障発作発症リスクが高いと判断した場合に、LI(レーザー虹彩切開術)や白内障手術(PEA+IOL)の適応となります。
白内障が進行していない場合はLIの適応となり、白内障がある場合は白内障手術により、隅角を開大し、瞳孔ブロックを解除し、急性緑内障発作を予防します。一度治療した方は、(緑内障)発作が発症する事はありません。
緑内障手術について
緑内障手術は、トラベクロトミー(内眼法など)<プリザーフロマイクロシャント手術<トラベクレクトミー<チューブシャント法<毛様体光凝固術 の順に侵襲が強い手術となっています。
マイクロフックやKフックといった専用器具を使用して行う低侵襲緑内障手術(MIGS)は、緑内障点眼数を減らせる可能性がある手術として期待されております。
当院では、緑内障手術は行っておりませんが、手術が必要な患者さんは、適切な時期に琉球大学附属病院の緑内障専門医と連携して治療してまいります。
白内障日帰り手術
おもろ眼科では、これまで数千件の日帰り白内障手術を行ってまいりました。瞳の広がりが悪い方、核の硬い白内障、前房が浅く急性緑内障発症が危惧される難症例と言われている白内障手術も数多く経験しております。
白内障手術法
- 手術前に不安や緊張を取り除くため、安定剤を内服してもらいます。
- 手術時、血圧が上がりそうな患者さんには、点滴を確保して、血圧上昇時、降圧剤を静脈内に投与し、血圧の下降を図り、安心して手術を受けられる体制を整えております。
- 白内障手術機械は、非常に高性能で、前房安定性が高く、安全に手術が行なえるアキュラス(ACCURUS アルコン社製)を使用しております。
- 手術は点眼麻酔後、角膜切開を加え、濁った白内障を超音波下で乳化および吸引後、人工レンズを挿入して終了します。手術時間は10分程度です。
眼内レンズについて
当院でとても大事にしているポイントは、挿入する眼内レンズです。
眼内レンズには、大きく分けて3種類のレンズがあります。
(1)単焦点レンズ
焦点距離(ピント)が遠方・中間・近方のうちの1点にしか合わず、通常保険適応の手術は、ほぼこのレンズを使用しております。これまでの単焦点レンズと比べて中間距離(60cm~1m)の見え方が非常に良好になった高次非球面の強化型単焦点眼内レンズが注目されています。
▲単焦点の遠方の見え方、中間距離~近方はぼやけて見えます。
(2)多焦点レンズ(2焦点3焦点型)
遠方・中間・近方に焦点が合い、メガネが不要となる事が多いレンズです。しかし、
① ハロー(あかりのまわりに光の輪がみえる)
② グレア(光が花火のように散ってみえる)
③ スターバースト(光が放射状にみえる)
④ 術後の屈折誤差が生じ、挿入した眼内レンズを抜去・交換する事もあります。
▲3焦点レンズ(すべての距離でよく見えます)
▲グレア・ハロー
(3)多焦点レンズ(焦点深度拡張型)
遠方・中間(から近方)に焦点が合い、30cm近方に関しては、メガネが必要になる事もあります。
2焦点・3焦点タイプにある①ハロー ②グレア ③スターバーストが出にくく、④術後の屈折誤差が生じても大きな視力低下を起こすことはほとんどないレンズで、多焦点レンズの中で安全に使用できるレンズです。
当院では、高次非球面の強化型単焦点レンズである Tecnis Eyhance(テクニスアイハンス)VIVINEX IMPRESS(ビビネックス
インプレス)を使用しております。これまでの単焦点レンズと比較して、遠方視は同等の鮮明度を維持しながら、中間距離もある程度良好な視力を期待でき、マイクロモノビジョン法(左右のレンズの屈折値を-0.5D以内で差をつける方法)を併用する事で、手術後にメガネ装用率の軽減を期待できます。
焦点深度曲線
高次非球面の単焦点眼内レンズは...
- 従来の単焦点眼内レンズと比較して焦点深度曲線がなだらです
- 50cm~1mの中間距離の見え方がこれまでの単焦点レンズと比較して良好な視力が得られます。
▲単焦点モノビジョン法(遠方~中間距離はよく見えます)
更に乱視矯正レンズについても、手術前にトポグラフィーにて角膜形状を測定し、乱視矯正が可能な患者さんは全例、乱視矯正レンズ(Toric
Eyhance)を使用しております。年間50例程度が(Toric
lens)の適応となり、術後乱視の改善により、術後裸眼視力の向上が期待できます。
▲トポグラフィーにて乱視の度数を計り、乱視矯正レンズで乱視の改善を計ります。
挿入したレンズは、よほどの事がない限り、抜去、再挿入する事はありません。後悔のないように、ご自身のライフスタイルに合ったレンズ選びがとても重要です。
当院では、患者さん一人一人と手術後の見え方について十分に相談し、術後メガネ装用率を軽減できる眼内レンズを使用しております。
多焦点レンズ(2焦点・3焦点型)は、以前は当院でも使用しておりました。遠方、中間距離、近方とも視力が期待され、眼鏡が多くの場合必要ありません。
しかし、手術後に ①ハロー ②グレア ③スターバースト
④術後屈折誤差が発生する事があります。特に④術後屈折誤差が高度な場合は、挿入したレンズを抜去する必要があります。挿入したレンズの抜去、レンズ交換を余儀なくされた症例が1例発生したため、多焦点レンズ(2焦点・3焦点型)は、現在当院では取り扱いを中止しております。
多焦点レンズ(焦点深度拡張型:EDOFレンズ)
これまでの多焦点レンズとは異なり、焦点深度を拡張する事で、遠方から中間距離(60cm)まで、連続的にみえるレンズです。ハロー・グレアがほとんどなく、コントラスト感度の低下もなく、質の高い見え方を提供できるレンズです。
① ハロー ② グレア ③ スターバースト ④ 術後屈折誤差が発生しにくい構造となっております。
EDOFレンズの欠点として、30cm程度の近見視力が出にくく、メガネが必要になる事もあります。
強度近視眼、強度遠視眼、乱視が強い方に関しては、多焦点レンズ使用は、術後屈折誤差を考慮して、十分にご相談の上、決定させて頂きます。
ドライアイ治療
近年、日本から生まれた TFOD(眼表面の層別診断)、TFOT(眼表面の層別治療)がドライアイの診療に大きな変化をもたらしています。
TFODでは、ドライアイ病態分類として、
- ① 涙液減少型(涙の分泌量が少ない)
- ② 蒸発亢進型(油分が少なく、涙が早く蒸発する)
- ③ 水濡れ性低下型(角膜表面への涙の接着性が悪い)
大きく3つに分類する事ができます。
当院では、どのタイプのドライアイかを TOMEY社(MR-6000)の検査機器を用いて分類しています。
測定するのは以下の3項目です。
マイボーム腺観察
マイボーム腺は涙液の蒸発を防ぐ油分を分泌する腺で、マイボーム腺機能不全(MGD)を診断する → 蒸発亢進型ドライアイの診断に役立ちます。
マイボーム腺を撮影して、その機能を評価します。
スコア-2以上が多い時は、機能低下を認めます。
涙液メニスカス高さを測定
涙液減少型ドライアイの診断に役立ちます。
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【正常】
涙液の高さが 0.2mm以上あり、十分な涙量
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【ドライアイ】
涙液高さが 0.09mmと涙液量の極度の減少
NIBUT (Non-invasive Break-up time)
非侵襲性涙液破壊時間 → 涙液層の安定を測定
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【正常】
涙液は安定し、非破壊時間の短縮なし
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【ドライアイ】
涙液破壊時間の短縮(4.3秒)
正常は5秒以上
MR-6000で、ドライアイの大まかな病態分類後、角膜表面をフルオレセインで染色します。
染色液のブレイクアップパターンによって6種類に分類します。
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涙液減少型
(① Area break ② Line break)
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蒸発亢進型
(③ Random break)
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水濡れ性低下型
(④ Spot break ⑤ Dimple break ⑥ Rapid expansion)
ドライアイの治療
① 涙液減少型
(ヒアルロン酸ナトリウム・ジクアホソルナトリウム点眼液)
重症例には、涙点プラグ挿入を行います。
まず下涙点のみ挿入します。症状改善ない場合は上涙点にもプラグを挿入します。
② 蒸発亢進型
(ヒアルロン酸ナトリウム・ジクアホソルナトリウム点眼液)
③ 水濡れ性低下型
(ジクアホソルナトリウム点眼液・レバミピド点眼液)
どのタイプのドライアイなのかを調べ、より適切な点眼薬を選択する事は、ドライアイ治療においてとても重要です。
ドライアイには、炎症性疾患としての側面もあり、異物感・眼痛・充血といった症状を有する事もあります。
消炎治療として、低濃度ステロイドを使用する事もありますが、今回、TRPV1拮抗薬(アバレプト点眼液)の登場により、眼痛・眼部不快感の大きな軽減が期待できます。
翼状片・眼窩脂肪ヘルニア
翼状片
白目を被っている透明な膜(結膜)が異常に増殖し、黒目(角膜)の中央に向かって侵入してくる病態です。
放置すると、視力低下、異物感、充血といった症状が強くなってきます。また、侵入の増強に伴い乱視が強くなってきます。角膜径の 1/4 を超えてきたら手術適応となります。
当院では、これまで 500件以上
の翼状片手術を施行しております。手術法は、結膜弁移植法(マイトマイシン未使用)にて行っております。再発率が非常に低い手術法を採用して行っております。
翼状片(手術前)
翼状片(手術後)
眼窩脂肪ヘルニア
眼球後方にある脂肪が加齢などにより眼の前方にはみ出してくる状態です。目の耳側上部に黄白色の柔らかい膨らみとして認められます。
通常は切除する必要性はありませんが、見た目が気になる、視界の妨げとなるなどの理由で手術を行う場合もあります。
手術は、点眼・テノン麻酔後、ヘルニア部の結膜を 2〜3mm 切開し、テノンを切離・剥離後、脂肪組織を切除します。テノン組織を強膜に縫合し、結膜を縫合して終了となります。再発はほとんどありません。
眼窩脂肪ヘルニア術前
眼窩脂肪ヘルニア術後
糖尿病網膜症
糖尿病が原因で網膜の血流不足により、網膜出血・白斑、黄斑浮腫、硝子体出血、網膜剥離を引き起こす疾患です。
初期症状に乏しく、症状が出現時には病態が進行している事が多いので定期的な診察が重要となります。
病期を調べる上で、**FAG(造影検査)**は、必要な検査・治療を行う範囲です(指標となります)。
当院では、那覇市立病院にFAG検査を依頼し、病期を決定後に必要に応じて**網膜光凝固術(レーザー治療)**を施行しております。
高度の硝子体出血、黄斑部浮腫、牽引性網膜剥離がある場合は、琉球大学病院への紹介となります。
網膜中心静脈閉塞症
網膜の静脈が閉塞する事により網膜出血・黄斑浮腫をきたす疾患です。
FAG(造影検査)が必要となり、必要に応じて網膜光凝固術、抗VEGF抗体療法を施行する事もあります。
多くは、網膜出血が消退(吸収)するまで経過観察となります。
網膜裂孔・剥離
網膜が裂ける事により、(網膜の血管が破れ)硝子体出血を来し、飛蚊症(ひぶんしょう)が増強します。網膜剥離を伴わない網膜裂孔は、**網膜光凝固術(レーザー治療)**にて治療可能です。
裂孔周囲の網膜が剥離を伴う場合は、手術が必要となります。
加齢性黄斑変性
加齢に伴い、網膜黄斑部に変性を来してくる疾患です。萎縮型と**滲出型(しんしゅつがた)**に分けられます。
萎縮型は、有効な治療法がなく、滲出型は、眼内に薬剤を注入する治療(硝子体注射)があります。
麦粒腫・霰粒腫
麦粒腫は、ものもらいの事で、瞼(まぶた)が腫れ、痛みを伴います。細菌感染によるもので、抗生剤(点眼・軟膏にて)治療を行います。改善がない場合は、切開し排膿(はいのう)します。
霰粒腫は、麦粒腫と同様に瞼が腫れますが、痛みは通常伴いません。治療としてステロイド投与、切開手術がありますが、症状が軽い場合には、自然消退する事も多く経過観察となります。
結膜炎
▲春季カタル
結膜炎の原因として、細菌性、ウイルス性、アレルギー性、異物の刺激によるものがあります。
人にうつる結膜炎として、アデノウイルスが原因となるものが多く、検査にて 10分程度で診断可能です。
痒みを伴う結膜炎は、アレルギーが多く、重症型として春季カタルがあります。点眼治療、内服治療にて改善が得られます。